Update 2024/4/22

SIP: "Symbol Improvement Proposal"について

2024年4月4日、KICN-FT@kicnft.symbol氏により、"複数トランザクションによって構成されるデータのメタ情報"の規格化として、 "sip-1000 AggregateData Metadata Standard" が提案されました。

1. SIP とは

SIP は "Symbol Improvement Proposal" の頭文字を取り略称表記したもので、Symbolの仕様や機能を改善するための提案、その申請の形式で、Bitcoinでは BIP 、Ethereumでは EIP という形式があります。
現在Symbolの仕様や機能の改善等についての提案は、Discordなどでコアチームに対して都度任意の形式で行われており、 BIPEIP のようなフォーマルな形式は存在していません。
そのため今回の SIP-1000 もフォーマルな形式に則ったものではありませんが、 BIPEIP に倣い SIP-1000 として提案し、意見を募集するものです。同時に、その提案フローを書くためのガイドラインを SIP として提案し、その形式についての意見も求めています。
なお、この SIP-1000 は、まだ公開意見募集のフェーズであり、Xでのコメントやその集計により決定するものではありません。
また、ある程度議論した後に、これを実際にフォーマルに審議し、決定迄進めていく為のフロー、ルールをコアとともに SIP-1 として草案を用意する考えであるともアナウンスされています。
Symbolでも BIPEIP のような一定のガイドラインとなる提案の形式を SIP として用意することで、今後ユーザーが何か提案をしたい場合にも利用でき、それぞれの提案についての議論や落着の経緯が見えやすくなることも期待できます。

参考

補足として

SIP-10001000 は提案番号を模していますが、1000番目の提案といった意味ではなく、まだ提案の申請プロセスが明確ではない中で、一般的に情報工学の中ではリザーブドあるいはウェルノウンといった印象が強い2桁あるいは3桁の数字を使うこと避けたためであり、あまり深い意味はないそうです。

2. SIP-1000:"複数トランザクションによって構成されるデータのメタ情報の規格化”

Symbolブロックチェーンで、フルオンチェーンNFTを作成する際に、ひとつのトランザクションでは格納できないサイズのデータを記録する場合には、データを分割しアグリゲートトランザクションなどを使用して記録する方法が一般的です。
しかし、そのデータの分割形式や性質に関する情報は作成方法によって異なり、デコード方法も異なります。
そのため、チェーンにNFTのデータを記録する際には、そのNFTの画像等のデータをデコードするための情報も共に格納すること、また、格納する際のフォーマットもユーザーにわかりやすいようにするために、メタ情報を規格化する提案です。

なぜメタ情報の規格化が提案されているのか

Symbolでは、現在既にNFTDrive、metal、COMSAなど、様々なフルオンチェーンデータ記録方法と、それぞれにそのデータを参照するためのデコード手法が存在します。
それぞれの方法にはそれぞれの特徴とメリットがありますが、同時に様々な手法が存在していることから派生する課題もあります。
NFTに格納された画像等のデータを参照するには、それぞれのデータ格納形式に沿ったデコード処理が必要となります。しかし、アクセスしようとしているフルオンチェーンNFTがどのような形式で保存されているのかを的確に把握できれば、デコーダーの作成も容易になります。
そこで、メタ情報の規格化が提案されています。
 

デコーダーの作成の容易化によるメリット

NFTを扱うプロダクトやサービスにおいて、デコーダー作成が容易になると、以下のようなメリットが期待できます。
  • NFTデータのデコード方法の明示が規格化されれば、ユーザーは対象コンテンツのフォーマットをすぐに把握できるようになり、適切なデコーダーを選択しやすくなります。これにより、NFTコンテンツの利用が容易になります。
  • 規格化によりデコーダー作成の負担が軽減されることで、開発者はより迅速かつ効率的にプロダクト開発やサービス展開に注力できるようになり、UI/UXの向上がもたらされることで、ユーザーはストレスなくNFTコンテンツにアクセスできるようになることが期待されます。
  • 以上のことに伴う利便性向上は、Symbolエコシステムの活性化につながることが期待されます。

SIP-1000 の注意点

SIP-1000 を実データと異なる場所に格納する場合は、ウォレットなどデコードするアプリがSIP-1000 の所在を別途判別できるようにNFT作成側が設計し、明示しておく必要があります。
一般的に、フルオンチェーンNFTのデータは、ヘッダー情報と実データ部分に分かれて格納されます。ヘッダー情報には、実データの内容に関する説明やサイズ、画像ファイルに関する記述などが含まれます。
実データを正しくデコードするためには、これらの説明が不可欠であり、 SIP-1000 はフルオンチェーンNFTのヘッダー情報と同等の役割を果たします。SIP-1000 に準拠したデータを事前に読み込むことで、実際のデータ構成を正確に解析したり、適切なデコーダーを判別したりすることが可能になります。
一方で、NFTのデータの格納方法や構成は多様であるため、SIP-1000 においてはこれらの情報の記述場所を規定せずに、データ構成の規格化については、 SIP-1000 とは別に議論を進めることとします。

質問や提案は

SIP及び SIP-1000 に関する質問はDiscordフォーラム"AggregateData Metadata Standard"までお寄せください。
SIP-1000 に対しての具体的な改善提案は、 KICN-FT@kicnft.symbol氏が暫定的に立てているGithubのIssuesまでお寄せください。

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